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2017年2月9日に原一探偵事務所・札幌支社を訪問取材した時のインタビュー記録のつづきです。
北海道における浮気調査について、現場の探偵の生々しい話が読めます。
道内での浮気調査について-2
私: 尾行や張り込みで本土と違う点を教えてください。
H次長: やはり、冬期の違いが大きいです。一番苦労するもののひとつがターゲットの確認です。帽子、マフラー、マスクで覆われて顔がまったく見えないことも多いですから。
ただ、ひとたび確認できれば、あとは全体の雰囲気でわかるので、見間違えることはありません。
私: よく知っている人なら全体的な印象で識別できるのはわかりますが、初めての相手を短時間でそんな風に識別できるようになるなんて、やはりプロですね。
【夜間・降雪中の車両尾行】
車両尾行は交通事故の危険もあり、元来が難しいもの。しかし、夜間に降雪で視界が悪い時はその困難がさらに倍増する。
S支社長: 車両尾行のやり方にも違いが大きい。本土だと交差する横道から別の車が出てきて追尾を交代するなどの車両の入れ替えを頻繁にやります。
しかし、雪の北海道ではそれは物理的に無理があり、失尾につながりやすい。
例えば、細い道は雪が積もっていてスタックすることも多い。路肩での待機、路肩を使ってのUターンなどもスタックの危険大です。
夏季には2車線の道でも、冬季には除雪した雪が積み上げられて一車線状態になっているので、対向車があると身動きが取れなくなります。とにかく、路肩や横道の利用はリスクが大きいんです。
結局、そういうカモフラージュテクニックを無理に使うより、自然さを最優先に普通についていった方が積雪期の北海道ではうまく行きます。
また、本土では※あいだ0(ターゲット車の真後ろにつくこと)を極力避けますね?その方法として尾行車の間にたまたまそこを走っていた車を入れる。
※探偵用語。ターゲット車と尾行車の間の一般車両の数を表す。例えば1台挟む時は「あいだ1」
しかし、積雪期の北海道では「あいだ0」の回避が最優先ではない。車両の通行量も違いますから、それは非現実的だし、こだわりすぎるとかえって不自然な感じもある。「あいだ0」になってもいいから、とにかく自然な感じでついていく、というやり方になります。
こちらでの追尾車両の入れ替えは1台を比較的長く使って順番に外していく感じですね。
O係長: 当地では運転が一般に乱暴で、危険の多い積雪期でもそれは変わりません。雪の積もった高速をとんでもないスピードで飛ばすターゲットを追うのは、おおげさではなく命がけです。スピードが出てる時は、車線変更も危険が大きいですね。レーン間の積雪で車がコントロールを失うんです。
【ホワイトアウト中の車両尾行】
ひどい時は視界が数メートルになる中で、追尾を続けるのは非常に危険。
Sn係長: ホワイトアウトも怖いです。特にトラックの後ろについたりすると、巻き上げられた雪と降雪が入り混じって視界がゼロになります。夜は特に怖い。さらにターゲットが白い車だったりするとまさに最悪で、相手が信号前で止まっているのか、交差点を通過したのかさえ判断できなくなります。
私: それがホワイトアウトですか?私はいわゆる雪目の事だと思ってました。
Sn係長: ああ、昼間の雪の照り返しも問題ではあります。でも、それはサングラスをかければ解決できる。ホワイトアウトの場合はサングラスをかけたら、よけいに見えなくなりますから(笑)
H次長: 除雪された雪の堆積も本土にはない大問題です。大人の背丈より高くなって視界を遮ることもあるし、レーン数が減って車の動きは自由度が減ります。
といって、幅員が足りない時に安易に除雪の堆積に幅寄せしたりするのは大変危険です。表面の積雪で一見柔らかそうに見えても、中には溶けて凍ってを繰り返して硬い岩のようになった氷塊が隠れていて、車両が破損する可能性があるのです。
O係長: マンホールのふたの上は地下の下水の熱で雪が溶けるので、深い穴みたいになっています。うっかりハマると車が動かなくなったり、バンパーが破損します。穴の中にバンパーが落ちていたこともありました。
土地の人ならふだんはそういうことにも気をつけているでしょうが、慣れない車両尾行を自分でやったりすると、ほかの事に気を取られてハマる危険も大きいです。やはりプロに任せてほしいですね。
【積雪時のスタック脱却用砂】
Sn係長: 毎日車両尾行をやっている我々でも雪で車が動かなくなることはあり、スタック脱却用の砂は必需品です。そこにペットボトルに入って並べてるやつですね。1台に3本くらいは積んでます。
さっき支社長が「濾過すると水がおいしくなる自然石」とか言ってましたが、冗談です。スタック対策の砂ですよ。
私: ちょっと、支社長…
S支社長: ハハハハ…