北海道の浮気調査事情

kanke

【原一探偵事務所・K部長: 尾行・張込みの実務に差支えるので、顔はモザイクがかけてあります。】

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北海道の第一線で活躍した一流の探偵に、同地での調査事情についてインタビューする機会を得たので、お届けします。

探偵K氏は、原一探偵事務所の札幌支社の立ち上げに関わり、約8年にわたって第一線で活躍された方。

その間に同社札幌支社は、札幌のみならず、道内でも有数の興信所に成長しました。

K氏は現在は埼玉の本社に勤務されており、取材は2016年5月19日に行いました。

お話を聞いてわかったのは、北海道の浮気調査は日本の他の地域と勝手が大きく違うということです。

その理由は土地が広大で交通量や人口密度が並外れて低く、さらに冬期は積雪がそれに拍車をかけることにあります。

このため、尾行や張込みが大変難しくなり、本土とは違うテクニックを蓄積していくことが必要になります。

また、信号が変わるタイミングや雪に傘をささないといった生活習慣も本土とは違います。

こうしたことは些細に見えて、失尾・発覚など、尾行の失敗につながります。

なかなか興味深い内容だと思うので、お楽しみください。

 

積雪期の事情が最大の相違点

・夜が明るい。白い服、車の方が目立たない。(他地域では黒を使用)

・除雪した雪が1レーンに溜められ、道幅が夏の半分(3レーンの場合は2/3)になる。視界が極端に悪くなり、張り込みの場所も少なくなる。

・このため、家玄関や敷地をマークできず、路地マークが基本となる。

・車外での張込は1時間が限度。体が凍え、手が痛くてスマホを触れなくなる。

・車内での張込みは、本土ではエンジンを切るが、当地では切らない。極寒が命に関わることと、車のオーバーヒートならぬオーバークールを回避するため。

・ホワイトアウト(雪目による視界不良)もよく起こる。停止すると追突されるリスクがあるので、危険だが進行しながら乗り切る技術が必要。

・車内からの撮影はピントが合わなくなることが多く、窓を開けてカモフラージュしながら車外から撮ることが増える。

・アイスバーンで滑るため、急発進・急ブレーキといった車両尾行の重要テクニックはすべて使えない。制動後の滑り分を予測した運転が求められる。滑り始めるとブレーキではなく、アクセルを踏む。

・ナンバープレートに雪が付着して、判別しにくくなりがちなため、ナンバーだけに頼ってターゲット車両を特定していては失尾する。車内の様子をすばやく視認して識別するスキルが必要。

・機動性に富むバイクは本土では有用だが、冬季の北海道では郊外に出られた場合に目立つ存在になるため、使えない。

・徒歩の張り込みや尾行も足跡が残り、何かとバレやすい。自分の足跡の上を歩いて戻って箒で足跡を消していく場合もある。

・湿気のない雪なので、地元民は傘を差さない。逆に言うと、雪で傘を差しているとよそ者とわかる。フードの活用が重要。

・冬期は追尾調査に車両台数や人数が必要。

・顔の視認による対象の確認が困難。帽子・マスク・マフラーを着用して出てくるため。特に女性。そのため、バッグや上着などについても詳しく聞いておくことが必要であり、場合によっては内偵で本人確認だけを実施する。

雪以外にも本土との違い多し

・信号が変わるタイミングが本土と違う。歩行者信号が変わった後に車用信号が変わるまでの間隔が本土より短い。尾行時の発進の判断に影響する。

・本土より運転が荒く、マナーの悪い人が多い。速度も雪のない時期は一般道路で100km出すことはざら。ウィンカーを出さない人も多い。

・交差点でない場所で右折のために右レーンで停車する車が多く、左レーンの方が通過しやすかったりする点も本土と違う点。3車線でも右折する。

・夏期は道路が広くて車両尾行はしやすいが、交通量が少なく見通しがよすぎるため、距離を取ったり、車両を変えたりが必要。本土の田舎もそういう面があるが、広大さの程度が違う。

・遊ぶところが少ないため、ピックアップしたらホテルに直行することが多い。

・車での移動時間は一般に本土より長いと思える。

・建物の入り口構造が積雪期に対応するために本土と異なるものになっている。アパートは内玄関が多く、一軒家は風除室が設置されているのが普通。冬期には風除室で上着を脱ぎ、雪を落として帰宅する。

・動物の危険大。夜間の車両尾行では、集団で移動している鹿との衝突。張り込みでは熊との遭遇。パーキングの休憩さえ、「熊出没中」の看板があるとできない。ちなみに本州では夜道で猫が轢かれているが、北海道ではキツネをよく見かける。

車両尾行がメイン

・すすきので合流してホテルに行くのを徒歩尾行するようなケースもあるが、車両尾行の比率が圧倒的に高い。

・土地全体としても鉄道駅付近は活気がなく、国道沿いに栄えている。

・交通量が少なくて渋滞がなく、見通しがよいため、追い続けるとバレやすい。市内の場合、碁盤の目なので平行移動を多用してカモフラージュする。

・平地の一本道では、1台ずつ車を殺していく。1台が遠目で尾行したら、以降は使用しない、など。例えば4台使う場合、2台を前半で使い、後半は別の2台に入れ替えるなど。相手から見えない距離で尾行したりも。

・ちなみに車は四駆が主流で、調査車両も四駆。ただし、プリウスは前輪駆動ながら例外的に多い。

ショッピングモールや道の駅の活用

・イオン、道の駅などの駐車場で車で合流し、一台に乗り込んで、もう一台を長時間駐車したまま 出かける行動がよく見られる。

・イオンはデート場所にもなる。近隣各市にあるため、地元を避ければ知り合いに出くわす可能性は低い。

・道の駅の駐車場に夜間に入った場合は、カーセックスの可能性大。

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